リリース・発表

2024.06.03

国際女性デーを広報PRに活用するには? メディア分析を公開

気候変動対策、男女格差や貧困の解消など、社会課題の解決とPRを結びつける施策が数年前から増えています。社会課題に関連したPRで、マスメディアへの掲載を目指す場合、どのようなコツが必要でしょうか?

 

内外切抜通信社では、近年メディアでも大きく取り上げられる傾向にある「国際女性デー」(3月8日)の関連記事を分析し、メディアごとの特徴とPRのトレンドをレポートします。レポート詳細はこちらからご覧ください。

 

◆国際女性デー・分析レポート詳細版2024(PDF)

◆国際女性デークリッピング一覧(新聞雑誌web)

◆【独自調査】「国際女性デー」のメディア報道に関する分析を発表(プレスリリース)

 

今回調査にあたった新聞、雑誌、Webそれぞれの調査員にインタビューしました。

 

K:全体の統括と新聞の分析を担当

M:Web分析を担当

Y:雑誌分析を担当

 

2024年の国際女性デー報道はどのような傾向がありましたか?

 

 

K:新聞は、各紙濃淡はあるものの、国際女性デーに関連した報道は予想以上に多かったです。全国紙5紙と、地方紙86紙の計91紙を調査したのですが、7割を超える67紙で関連する報道があり、半数で1面に掲載していました。

 

新聞の掲載状況円グラフ

 

Y:雑誌は国際女性デーについて掲載があったのは18媒体でした。雑誌の特性として、読者層がはっきりしているため、大きく特集する雑誌、ひとことも触れない雑誌と分かれました。ジャンル別では、主に「ファッション」「女性」「総合」誌で特集掲載がありました。

 

 

M:Webは1月1日から3月8日まで調査し、国際女性デーの記事数は1,556件でした。早いものは1月から出ていましたが、3月8日の掲載が560件で最多、次に3月7日の171件、3月1日は107件と掲載が集中していました。

 

 

 

◆そもそも国際女性デーとはどのような取り組みなのでしょうか?

 

 

K:もともとは労働運動や女性参政権を求める運動が起源で、国連が1977年に国連の日として国際女性デーを裁定しました。世界各国でデモや集会が行われてきた歴史があり、2017年ごろから#MeTooの動きなどと連動して注目が高まっています。

 

メディアでの特集や、企業や自治体などによるイベントも増えています。この日に合わせて男女格差に関する調査レポートなども発表されています。

 

 

◆それぞれのメディアの特徴を教えてもらえますか。

 

 

K:記事数の合計は、『信濃毎日新聞』『朝日新聞』が24記事で同数1位、『東京新聞』『琉球新報』が22記事で同数3位でした。全国紙が必ずしも記事数が多いわけではなくて、地域に関わらず各社の取り組みの差が表れました。

 

 

全国紙は、『朝日新聞』『毎日新聞』は関連記事多め、『産経新聞』は広告に力が入っていて、『読売新聞』『日本経済新聞』の記事数は控えめでした。

 

 

『朝日新聞』は、題字も国際女性デーのシンボルであるミモザ色に変更していました。題字を変えるには、複数の部署の了解をとったり大変だと思うんですよね。通年企画として「Dear Girl」、「Think Gender」と長年の蓄積もあるので、社内全体に意識が浸透しているようです。関連24記事、広告16社の掲載がありました。

 

『毎日新聞』は、昨年までの連載「声をつないで」をリニューアルし、「変わろう 変えよう」という、能動的な連載名になりました。男性記者の執筆が増えて、記者全体での関心が高まっているのかなと思います。

 

『産経新聞』は、ミモザの花をあしらったラッピング広告で本紙を包んでいて、とても目をひく紙面でした。中を開けると1面記事では「産経抄」で取り上げたのみだったのですが、社説では女性活躍を取り上げていました。

 

『読売新聞』は、女性五輪選手、パラ選手など、スポーツ面で大きく掲載されていました。1面では目次の記載のみでした。

 

『日本経済新聞』は、「女性活躍」「投資」といった視点から特集があった他は、社説での掲載のみでした。1面への記載はなく、本紙全体での取り組みという印象は薄いです。でも、広告、協賛は全国紙の中で一番多かったです。

 

地方紙は、共同通信が2022年から配信する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の掲載が記事数に貢献していました。地域で活躍する女性へのインタビュー記事も多くみられました。

 

 

「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」とは

「地域からジェンダー平等研究会」が2022年から毎年、3月8日の国際女性デーに合わせ、都道府県ごとの男女平等度合いを示す指数と順位を算出し、事務局の共同通信社がデータを配信している。世界経済フォーラムが公表する男女平等度の指標「ジェンダー・ギャップ指数」と同じ手法を用い、「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野を分析している。 統括監修は三浦まり上智大法学部教授、統計監修は竹内明香上智大経済学部准教授、事務局は共同通信社がつとめる。

 

 

◆雑誌はどうでしょうか?

 

 

Y:主な内容は、女性リーダー層へのインタビュー・対談、コスメ等の商品紹介、女性たちの連携を描いた書籍・映画の紹介、イベント情報などでした。女性運動の歴史についての解説が含まれる記事もありました。フェムテック・フェムケアについて全面的に取り上げた特集もあり、この領域の注目度が高いのかなと思います。

 

 

 

調査前には、コスメ等の商品紹介が多くなるのではないかと予想していたのですが、特集内に必ずしも含まれるわけではなかったです。インタビュー・対談等の読ませる記事が比較的多かったです。

 

女性誌『bis』3月号では、金村美玖さん(日向坂46)を起用した国際女性デー特集の掲載がありました。金村さん自身のインスタグラムでの宣伝と、それに対するファンの反響を集めたWEBニュースの記事が出ていました。雑誌はタレントやインフルエンサーなど、より拡散性のある人を絡められるのがメリットですね。

 

 

◆Webはどのような特徴がありましたか?

 

 

M:1,556件のうち、406件が国内大手プレスリリース配信サービス6社(『PR TIMES』、『@Press』、『Value Press』、『Digital PR Platform』、『共同通信PRワイヤー』、『ドリームニュース』)の掲載でした。

 

 

リリースの内容は、イベントやセミナーの開催、フェムテックやフェムケア、コスメ等の商品、宿泊施設やレストラン等の国際女性デーに関する企画といった商品の告知が大部分を占めていました。

 

ジェンダー平等や女性活躍推進に対する自社の取り組みについての発信も目立ちました。リリースの配信日は国際女性デー当日の3月8日が99件で最多となり、次点が3月1日の45件でした。

 

全国紙のWebサイトでは、新聞紙面とは違って、『毎日新聞』が最多の掲載数でした。紙面と同様に「変わろう、変えよう」のタイトルで国際女性デーについて連載を展開していて、期間中48件の記事が掲載されました。

 

地方紙各社のWebサイトでは新聞紙面同様、「地域からジェンダー平等研究会」の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の調査結果についての掲載が多数見られました。特に『東京新聞』、『沖縄タイムス』での掲載が目立ち、『沖縄タイムス』では前述のジェンダー・ギャップ指数に関する記事のほか、県内の女性を取り巻く問題について国際女性デー当日を中心に連日報じられていました。

 

雑誌でも掲載のあった『bis』や『25ans』、『エル・オンライン』では、Webサイトでも特集が組まれ、雑誌誌面と連動した記事のほか、Webサイト独自の記事も掲載されています。

 

 

 

◆ジャンルごとの特色などはありましたか?

 

 

M:ジャンル別では、「女性」や「ファッション」の分野が突出するのではないかと予想していたのですが、『マイ広報誌』や『タウンニュース』が各地のイベント情報や行政の取り組みを発信していて、「地域情報」のジャンルがこれらを上回っていました。

 

「スポーツ(総合)」のジャンルでは、『THE ANSWER』が「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」という連載を展開していたのが目に留まりました。今年は「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに、バスケットボールの馬瓜エブリン選手、サッカー元日本代表の岩渕真奈さんらがインタビューに登場。女性アスリートとスポーツの課題について実体験を交えてメッセージを発信しています。

 

「映画・TV」のジャンルでは女性監督にスポットをあてて、映画史における女性の進出について特集が組まれるなど、各サイトの特色に合わせたアプローチが見られました。

 

 

◆注目したPR手法はありましたか。

 

 

M: 大手理美容機器、化粧品メーカーの「タカラベルモント」は、毎年国際女性デーの啓蒙活動に力を入れていて注目しています。今年は、国際女性デーを前に、ジェンダー意識の向上を目指す「OSAKA WOMAN TALK PROJECT」や「タカラベルモントキャリア支援プロジェクト」を始動しています。

 

また、研究者の活躍促進と支援を目的とした「タカラベルモント ミモザ賞」採択の発表や、トークイベント「TAKARA BELMONT presents HAPPY WOMAN TALK」を開催。さらに、タカラベルモントが展開する化粧品ブランド「SEE/SAW」では、2月14日より女性のエンパワーメント推進と、国際女性デーの普及を目指したプロモーション「BEAUTIFUL IMPRESSION DAYS」を実施するなど、国際女性デー当日のみならず、数か月にわたって関連するプロモーションを行っていました。

 

これらの企画の告知やイベントの実施に関する発信を170を超えるWebメディアが取り上げていて、女性のエンパワーメントに対する企業としての取り組みや姿勢の認知に繋がっていると思います。

 

 

◆それぞれのメディアで取り上げてもらうにはどのような工夫が有効でしょうか。

 

 

K:今回、8日を中心に7~10日までの新聞紙面も調査したのですが、新聞への掲載をねらうならば、イベントやリリースは8日の紙面をねらって、事前に告知、開催するのがよさそうです。8日は各紙複数の関連記事が載るので、注目度も高まります。1面やカラー面に使えるような写真映えする企画、ミモザ色の企画も有効そうです。

 

 

◆記事の傾向はどうでしょうか。

 

 

K:特集記事は、データを使った調査報道が増えてきているので、ある程度時間をかけて企画されていますね。早い場合は前年の11月、12月から動き始めていると聞いたので、早めのアプローチがおすすめです。1社の事例だけを取り上げることは少ないので、記事の全体像を見据えつつ、世の中のトレンドなど含めて提案してみるとよいと思います。

 

インタビュー記事も多いので、対応できそうな社員・役員や、関連商品など、早い時期に一度提案してみるのがおすすめです。

 

地方紙は、共同通信が2020年から配信する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の掲載が圧倒的に多いので、これに絡めた企画なども注目されそうです。

 

Y:雑誌の場合は、ミモザ色の商品やインタビューがよさそうですね。ミモザ色の商品は、既存の商品でも、改めてアプローチすることで、特集として紹介してもらうチャンスがありそうです。

 

 

 

 

◆Webニュースへの掲載はどのようなアプローチが有効ですか?

 

 

M:今回Webの調査の結果をみると、新聞社が運営するサイトが24.3%、出版社、TV局など既存メディアが運営するサイトをあわせると47.7%とほぼ半数でした。社会課題などと絡めてPR施策を実施する場合、拡散手段として新聞や出版、TVなど既存メディアは外せないと思います。

 

また、プレスリリースの配信が3/8に集中しているので、目に留めてもらうためにはSNSの活用など、ひと工夫必要ではないかと思います。

 

 

◆PRに社会課題を取り入れる場合、注意することはありますか?

 

 

K:扱う課題について、付け焼刃ではなく、きちんとした視座をもった上でアウトプットすることが、今後ますます求められていくと思います。

 

実態の伴わない表面的な取り組みは、環境へ配慮していると見せかける「グリーンウォッシュ」や、「ピンクウォッシュ」などといわれ、その欺瞞性を指摘されます。SDGsはコミュニケーションの課題だけでなく、経営課題であるという認識が必要です。

 

社会情勢や、歴史的な経緯なども踏まえる必要があります。「国際女性デー」をみても、100年の歴史があり、議論の積み重ねがあります。20年以上前の出来事はインターネット上に情報が少ないので、意識的に書籍や過去の新聞などで調べることも必要ですね。また、アメリカ大統領選、ロシア、インド、中国などの動向、パレスチナ情勢、台湾、イラン…など、国際情勢も関わってきますので、日々のニュースへの理解も欠かせません。

 

性別、人種、障害、経済的状況、年齢など、ひとりひとりの属性に目を向けるインターセクショナリティ(交差性)という概念や、無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)などは、ジェンダーだけでなく、社会課題全般を考えるうえでも重要なキーワードですね。

 

 

詳しい調査内容・分析はこちらをご覧ください

 

◆国際女性デー・分析レポート2024(PDF)

◆国際女性デークリッピング一覧(新聞雑誌web)

 

■国際女性デーとは

 

20世紀初めの労働運動や、女性参政権を求める運動が起源とされる。国連が1975年の「国際婦人年」に国際女性の日を策定する取り組みを始め、1977年に国連の日として国連総会で決議された。各地でデモや集会が開かれ、近年は企業や自治体などによるイベントも行われる。黄色いミモザの花がシンボル。

 

女性の地位向上、権利獲得の取り組みを称えるとともに、未だ権利獲得の途上にある女性たちとの連帯を示し、世界平和を希求する。日本では1923年3月8日に東京・神田の青年会館で初の国際女性デーの集会「国際婦人デー講演会」が開かれ、1947年には戦後初の集会が皇居前広場でおこなわれた。

 

<株式会社内外切抜通信社について>

1939年創業のクリッピング、報道分析専門会社。約7,000媒体を調査員が目視により調査し、分析をおこなっています。新聞・雑誌、WEBはもちろん、TV、ラジオ、X(旧Twitter)、Instagramなど、様々なメディアに対応可能です。

 

【会社概要】

会社名:株式会社内外切抜通信社(ナイガイキリヌキツウシンシャ)

所在地:東京都新宿区大久保3-14-4 毎日新聞社早稲田別館2F

設立:1968年(創業1939年)

代表取締役:近藤義昭

事業内容: 新聞・雑誌・WEB・TVクリッピング・モニター調査、メディア露出の効果測定、分析業務

URL :https://www.naigaipc.co.jp/

 

written by naigai

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