リリース・発表
2025.09.30
【報道分析】「国際女性デー2025」の新聞・雑誌・Web報道を分析しました

内外切抜通信社は、2025年「国際女性デー」(3月8日)に関する
新聞91紙、雑誌1,064誌、Webニュース4,437サイトの報道を調査し、分析しました。
2025年の国際女性デーに関する報道量は、新聞71紙537記事、雑誌6媒体51ページ、
Web1,664件となり、2024年の調査と比べると、新聞は増加(+67記事)、雑誌は減少(-12媒体)、Webはほぼ横ばい(+18件)でした。
数年前からみられた盛り上がりが落ち着いた一方で、新聞では経済や防災の視点からの記事や データを使った報道の増加がみられ、報道内容がより深化しています。ジェンダーの話題に関するバックラッシュが見られる中で、「国際女性デー」の扱い方を模索する様子がみられました。
<ポイント>
-
- ● 新聞の国際女性デー記事総数は71紙537記事、2024年(470記事)より67記事増
- ● 記事数1位は『東京新聞』30記事、2位『朝日新聞』28記事、『新潟日報』『琉球新報』続く
- ● 1面に国際女性デーの掲載があった媒体は54紙、全国紙は5紙すべて1面に掲載
- ● 経済や防災の視点からの記事やデータを使った報道が増加
-
- ● 雑誌で特集掲載があったのは6媒体 ラグジュアリー媒体での掲載が大きく減少
- ● 掲載ページ数トップは『25ans』の15ページ、2位は『metropolitana』12ページ
- ● 「国際女性デー」は避けられている?女性、SDGsの特集があっても女性デーの語句なし
- ● 1~3月の「国際女性デー」Web掲載数は1,664件、掲載日は3月8日当日が最多
- ● 掲載上位サイトは『PR TIMES』が341件で1位、2位は『毎日新聞』51件
<調査概要>
対象:全国紙5紙、地方紙86紙、雑誌1,064誌、Webニュース4,437サイト
方法:調査員が「国際女性デー」の記載がある記事を目視で調査、Webは他サイトへの転載を除外
期間:新聞3月8日付け紙面、雑誌2月7日~3月10日発売、Web1月1日~3月9日掲載
<調査結果>
■新聞
新聞では、国際女性デーが国連で採択されてから50年、女性参政権の獲得から80年、男女雇用機会均等法制定から40年といった節目を扱った記事が多くみられました。共同通信が配信する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」は52紙に掲載され、各地方紙で深堀した記事が掲載されています。
1面に国際女性デー記事の掲載があった媒体は54紙で、そのうち34紙は1面に「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を掲載しました。
記事数では『東京新聞』が30記事でトップ、次いで『朝日新聞』が28記事で2位、『新潟日報』『琉球新報』が21記事で同数3位、『山形新聞』が18記事で5位となりました。
<掲載記事数ランキング>
『朝日新聞』『琉球新報』『沖縄タイムス』『中国新聞』『下野新聞』『山梨日日新聞』の6紙が、題字を国際女性デーのシンボルであるミモザの黄色で飾っています。
国際女性デーに関する社説を3月8日に掲載したのは29紙(24.4%)、国際女性デーに関連したワッペンを付けていたのは、45紙(50%)でした。
内容では、経済の面から扱う記事が多くみられ、女性管理職比率(『長崎新聞』『北海道新聞』『山形新聞』『時事通信』)、男女の賃金差(『中国新聞』『下野新聞』『新潟日報』『北海道新聞』『東京新聞』『神戸新聞』)などの話題が目立ちました。
また、防災活動への女性参加(『山梨日日新聞』『岐阜新聞』『北海道新聞』『山形新聞』『徳島新聞』『高知新聞』『信濃毎日新聞』)、地方を離れる女性たち(『熊本日日新聞』『南日本新聞』)を扱った記事が複数みられました。独自のアンケートやデータベースを活用した記事など、調査報道も増えています。
全国紙5紙に限定すると、記事件数では『朝日新聞』が28記事、『産経新聞』12記事、『毎日新聞』11記事、『読売新聞』が7記事、『日本経済新聞』が6記事を掲載しました。
<全国紙一覧>
全国紙は、5紙すべてが1面に関連記事を掲載しました。『産経新聞』が昨年に続き、ラッピング広告で紙面を覆い、1面には小池百合子東京都知事のインタビューを掲載しています。『朝日新聞』は「障害のある女性 絡み合う困難/ホストクラブ『恋愛感情利用してツケ』禁止へ」、『毎日新聞』「事実婚、法律婚と『同等』主要117社中37社が規定 本紙調査」、『読売新聞』は「嫌がらせ対策 30議会のみ 本社121議会調査」、『日本経済新聞』は「働く女性の半数超『別姓を選択したかった』」といった調査記事を掲載しました。
女性の問題だけに限定せず、男性の生きづらさや、DEIとして包括的に取り扱う記事も増加傾向にあります。反DEIへの動きやバックラッシュが巻き起こり、岐路を迎える中、「国際女性デー」の扱い方を模索する様子がみられました。
■雑誌
雑誌は掲載数が昨年比で大幅に減少し、昨年多く掲載のあったラグジュアリー系媒体でのトーンダウンが目立ちました。SDGsの特集があっても国際女性デーの語句がみられず、話題にすることを避けているのではとすら感じます。欧米の高価格帯ラグジュアリーブランドや企業による、DEIや、エシカル(倫理的な)への取り組みの退潮を反映しているようです。
<雑誌掲載一覧2025>
■Web
新聞、出版、TVといった、既存メディアが運営するサイトでの掲載が6割近くを占めています。国際女性デーのような社会課題に対して、企画、取材、インタビューなどの記事を複数掲載するのは、既存メディアがメインであると言えます。掲載日は3月7日、8日の2日間で41.2%を占め、情報の集中がみられますが、昨年よりは掲載日が分散しました。
<サイト別記事件数>
記事の見出しを元に頻出上位300位までの語を対象に、共に使われている頻度が高い語をつなげて共起ネットワークを作成したところ、「女性」「国際」が最も頻出語となった以外は、語句が分散しており、話題が多様化している様子がみられました。
内外切抜通信社 クロスメディア戦略部 河原有希子
■調査結果一覧・分析レポート詳細版
分析レポートの詳細版・調査結果一覧につきましては、下記よりDLしていただけます。
■国際女性デーとは
20世紀初めの労働運動や、女性参政権を求める運動が起源とされる。国連が1975年の「国際婦人年」に国際女性の日を策定する取り組みを始め、1977年に国連の日として国連総会で決議された。各地でデモや集会が開かれ、近年は企業や自治体などによるイベントも行われる。黄色いミモザの花がシンボル。
女性の地位向上、権利獲得の取り組みを称えるとともに、未だ権利獲得の途上にある女性たちとの連帯を示し、世界平和を希求する。日本では1923年3月8日に東京・神田の青年会館で初の国際女性デーの集会「国際婦人デー講演会」が開かれ、1947年には戦後初の集会が皇居前広場でおこなわれた。
<株式会社内外切抜通信社について>
1939年創業のクリッピング、報道分析専門会社。約7,000媒体を調査員が目視により調査し、分析をおこなっています。新聞・雑誌、WEBはもちろん、TV、ラジオ、X(旧Twitter)、Instagramなど、様々なメディアに対応可能です。
【会社概要】
会社名 :株式会社内外切抜通信社(ナイガイキリヌキツウシンシャ)
所在地 :東京都新宿区大久保3-14-4 毎日新聞社早稲田別館2F
設立 :1968年(創業1939年)
代表取締役:近藤義昭
事業内容 : 新聞・雑誌・WEB・TVクリッピング・モニター調査
メディア露出の効果測定、分析業務、デジタルコンテンツ制作
written by naigai