85年の確かな実績 新聞雑誌・WEB・SNSクリッピング | 内外切抜通信社        

広報・PR

2023.07.25

男性から女性へ…あるパワフルなテレビ局員の生き方に学ぶ

 

テレビ局の記者としてカイロ支局などに勤務後、性別を男性から女性に変え、念願を叶えて映画プロデューサー、番組コメンテーターとして活躍——先日、そんな珍しいキャリアを持った方のお話を伺う機会がありました。

 

日本PR協会の国際・交流委員会が主催する「They Talk Forum」。毎回、各界で活躍する女性をスピーカーに招き、女性のエンパワメントと会員の交流を目指すためのイベントです。

 

今年度1回目となる6月16日は、日本テレビ局員でアニメ映画『竜とそばかすの姫』を手掛けたプロデューサー、谷生俊美さんが「誰も歩いたことのない道を」と題して講演しました。

 

 

1973年生まれの谷生さんは、幼少期は「いつか女の子になりたい」と考えていました。東京外国語大学在学中はドラァグクイーンイベントを開いたり、バックパッカーとして海外を巡ったり。

 

大学院を卒業後「映画に携わりたい」という思いから日本テレビに入社しますが、報道記者への配属となり、社会部警視庁担当を経てエジプトにあるカイロ支局へ。

 

赴任中、中東各地でテロや戦争の現場を取材したことで人生を考え直すようになり、トランスジェンダーとしての生活を歩み始めます。

 

帰国してから、長い髪や女性的なファッションでニュースの顔出し解説を行ったとき、報道の上司に「お前、そんなんでテレビ出ていいと思ってんの?」と言われてしまいます。

 

そして編成部へ異動後、39歳の時に女性へのトランス希望があることを社内にカミングアウト。その際には、理解ある女性上司からの「言ってくれてありがとう」という言葉がとてもうれしかったということです。

 

 

「news zero」でのコメンテーターの姿は視聴者から話題になり、社内からの視線も変わります。「より自分らしく、クリエイティブに夢を実現しているのは、カミングアウトしたから。のびのびと自分を出して活躍できる」と振り返ります。

 

入社時の夢だった映画事業部に異動してプロデューサーになり、女性のパートナーと結婚。

 

ホルモン治療をしていた影響もあって、苦しい妊活は数年間にわたりますが、そこで奇跡が…。講演の最後には、それらをまとめた8月刊行予定の著書『パパだけど、ママになりました』(アスコム)の紹介もありました。

 

書影データ『パパだけど、ママになりました』(谷生俊美著、アスコム刊)

 

貴重な経験の数々を、時に感情を込めパワフルに、何より楽しく再現する谷生さん。同じ39歳独身でも、男性と女性でまるで世間からの見られ方が変わることなど、女性になったからこそわかった世界があるといいます。

 

45分予定のところ1時間を過ぎたものの、まったく長さを感じさせないトーク力は、記者やコメンテーターをはじめとした職場で活躍してきた積み重ねの賜物と感じました。

 

谷生俊美さん講演写真

 

当初不本意だった報道の部署でも見事な立ち回りを見せてスクープをとり、その後のキャリアに役立つことになります。

 

多様性への理解が進んでいなかった当時、しかもテレビ局という組織で多忙を極める業務の中にありながら、強く信念を貫き念願を叶えていった姿は、LGBTQやジェンダーという課題のみならず、私たちの生き方を考える上での示唆に富んでいました。

 

 

オンラインではなく実地開催となった今回、他社の広報部門や各PR会社のPRパーソンの方々ともざっくばらんな交流ができました。

知識を得るのみならず、PRの在り方、生き方についても考え、意識を高める充実した研修の場となりました。

 

text by 営業部 細見葉介

 

 

They Talk Forum「誰も歩いたことのない道を ~”Embrace yourself!” 自分を抱きしめて生きるということ~」

 

  • 登壇者:日本テレビ放送網の映画プロデューサー谷生俊美氏
  • 日時:2023年6月16日(金)18:30~20:30
  • 会場:ワーキングホリデー・コネクション原宿・表参道店
  • 主催:日本PR協会 国際交流員会

 

内外切抜通信社は日本PR協会に加盟しており、勉強会、交流会にも積極的に参加しています。今後も参加レポートをご報告します。

written by naigai

PAGETOP