変わるメディアと情報収集 これからの「キュレーション」を考える

情報が溢れる現代社会。新聞や雑誌、テレビなど旧来のメディアに加え、ウェブニュースやSNSが登場し、私たちが触れる情報は膨大な量になり、さらに増え続けています。価値ある情報を見つけ出すためには、どのような力がいるのか。さまざまな角度から情報と関わってきたメディア人に聞きました。

キュレーション産業の先駆け
内外切抜通信社とは

 内外切抜通信社は、創業75年を超えるクリッピング会社です。新聞や雑誌、ウェブニュース、SNS、テレビなど、あらゆるメディアの膨大な情報の中から、必要な記事を切り抜いて抽出するのが主な業務です。

 広報・PR・宣伝に携わる方なら自社情報のメディア露出やイベントなどの掲載確認・効果測定、マーケティングに携わる方なら資料の収集、営業に携わる方なら営業活動の情報収集、編集に携わる方なら企画のための情報収集など、さまざまな目的を持ったお客様から依頼をいただき、クリッピング業務をおこなっています。

100年続くクリッピングサービス

 クリッピングの歴史は古く、フランスで世界最初のクリッピング会社が発足したのは1879(明治12)年のことでした。それから11年後、1890年に日本初の切り抜き会社「日本諸新聞切抜通信」が創業されました。当時の内務大臣・山縣有朋がヨーロッパを視察した際に現地のクリッピング会社を利用し、日本での創立を促したといわれています。

 内外切抜通信社は1939年に創業。それ以来、今日まで新聞や雑誌のクリッピングに携わってきました。

 クリッピングサービスが多様化してきたのはこの20年ほどのことです。内外切抜通信社では1994年、掲載された記事の価値を計測する広告換算サービスを開始。 2009年にウェブニュースのクリッピング、さらに2012年にはTwitterのクリッピングサービスも開始しました。

 クリッピングの進化の歴史は、そのままメディアの変動の歴史と重なります。メディアに流れる情報が爆発的に増えた現在、紙・ウェブといった媒体を問わず、お客様にとって有益な情報を見つけだす技術が求められているといえます。その中で内外切抜通信社は、これまで培ってきた情報収集のノウハウを発展させ、時代に沿ったサービスを提供しております。

すべてのメディアに人が目を通す意義

 内外切抜通信社の根幹業務は新聞、雑誌、ウェブニュースのクリッピングです。記事データベースなどの検索機能に依存することなく、すべての記事を人が読み、クリッピングをしています。取り扱う媒体は、紙媒体なら全国紙、スポーツ紙、地方紙、業界紙、各種雑誌など約2000種類。ウェブ媒体は約3300サイトで、これらすべてに人の目が通されています。

 人が圧倒的に優れている分野は、キーワード化できない記事のクリッピングです。たとえばデータベースから「ビールの新商品に関する記事」や「車の安全性に関する記事」といった漠然としたテーマで記事の収集をしようとすると、検索用キーワードを定めづらく、クリッピング結果に過不足が生じるおそれがあります。このような場合に、人がメディアに目を通し、内容を吟味することでお客様の求める情報を的確に集めることができます。こういったサービスは情報のキュレーションサービスのはしりともいえ、クリッピングサービスの大きな意義のひとつです。

 さらに、データベース化されていない媒体からのクリッピングや、不要な記事の判別が容易にできるという利点もあります。

広がるクリッピングサービスの領域

 近年では、メディア環境の変化やお客様のニーズに応え、メディアのクリッピングを超えたサービスを提供しています。

 SNSのクリッピングは今後も需要が伸びていくと思われる分野です。特にTwitterは投稿数が多く、設定したテーマに対する世間の反応や、世論のインフルエンサーをわかりやすく知ることができるSNSです。内外切抜通信社では、クリッピングから分析まで、セットでTwitterクリッピングのサービスを提供しています。

 クリッピング結果をもとにした報道分析レポートの制作も、近ごろニーズが増えているサービスです。これまでバラバラに報告されていた紙やウェブ、SNSのクリッピング結果をひとところにまとめて月次や週次で報道状況の分析をおこなうと、報道の傾向や世論の流れが見えてきます。記事のジャンル分けやサマリーの制作など、レポートの仕様はお客様の用途によりカスタマイズが可能です。